ニューズレターVol.6
第5回年次大会によせて
21世紀社会デザイン研究学会
理事 宮崎 正浩
(大会実行委員長・跡見学園女子大学教授)
21世紀の社会デザインをめざした当学会が設立されて5年目を迎えました。これまでの4回の年次大会はすべて立教大学で開催されましたが、本年12月4日、5日に開催される第5回年次大会は、跡見学園女子大学(文京キャンパス)での開催となります。
さて、近年の日本経済は、円高が急速に進み、大変な苦境に直面しています。一方、地球環境問題は、2012年が期限となっている京都議定書の後の国際的な枠組みの交渉が難航しています。また、今年は国連の「生物多様性の年」であり、この10月には名古屋で生物多様性条約の第10回締約国会議が開催されました。
国連が実施した「ミレニアム生態系評価」(2005)によりますと、この数百年の野生生物の絶滅速度は、化石記録で明らかな過去の絶滅速度の約1000倍と推定されています。この原因は、開発による生息地の減少や分断、乱獲、外来種、気候変動などですが、その根本の原因は、人間の活動が地球の環境容量を超えているためであり、言い換えれば、人間社会が自然との共生に失敗しているためと言えるでしょう。
日本は、長い歴史の中で地域共同体が自然資源を自主管理し、自然と共生する社会を形成してきましたが、近年、全国各地でそれらが崩壊しています。この結果、個々人は孤立し、様々な社会的な問題を招いています。21世紀では、人間が自然と共生し、また、その共生の中で人間同士のつながりが深まるような社会をデザインすることがまさに必要ではないでしょうか?
そこで、今回の年次大会では、「自然と共生する社会」を統一テーマとし、このテーマで深く語れる方々をお招きしたディスカッションの場を企画しました。また、2日目午前の自由論題発表では例年どおり多様な分野の研究成果の発表が予定されています。
それでは、年次大会で皆さまとお会いし、活発な議論ができますことを心から楽しみにしております。
第5回 21世紀社会デザイン研究学会年次大会プログラム
統一テーマ:「自然と共生する社会デザイン」
開催日: | 2010年12月4日(土) 13:15~17:45(受付開始12:30) 2010年12月5日(日) 10:00~16:30(受付開始9:30) |
会 場: | 跡見学園女子大学 文京キャンパス 2号館 |
基調講演・パネルディスカッション 他
■2010年12月4日(土) 13:15~17:45(受付開始12:30)
テーマ | 自然と共生する社会デザイン |
会場 | 跡見学園女子大学 文京キャンパス 2号館6階M2605 |
13:15~ | 開会挨拶:北山 晴一 |
13:30~14:20 | 基調講演:内山 節(立教大学教授) |
14:30~17:00 | パネルディスカッション コーディネーター:宮崎 正浩(跡見学園女子大学教授) パ ネ リ ス ト: 内山 節 (立教大学教授) 村上 千里(認定NPO法人「持続可能な開発の ための教育の10年」推進会議ESD-J 理事) 甲斐 徹郎((株)チームネット 代表取締役 ) 吉村 英子(跡見学園女子大学教授) |
17:00~17:45 | 総会 (2号館 6階 M2605) |
18:00~ | 懇親会(2号館 9階のホール) |
公開講演会
主 催: | 跡見学園女子大学サスティナブルビジネス研究会(ASBI) |
共 催: | 21世紀社会デザイン研究学会・跡見学園女子大学大学院マネジメント研究科 |
■2010年12月5日(日) 14:00~16:30(受付開始13:30)
テーマ | 自然との共生―都市から自然を考える |
会場 | 跡見学園女子大学 文京キャンパス 2号館1階ブロッサムホール |
講師 | 萩原 なつ子 (立教大学 教授) 村上 雅巳 (跡見学園女子大学 准教授) 和田 慎一 (東京都環境局 自然環境部 緑環境課課長) 朝田 くに子 (株式会社風土倶楽部 代表取締役) 那須 守 (清水建設株式会社 技術研究所 都市緑化グループ長) |
コメンテーター | 北山 晴一 (21世紀社会デザイン研究学会会長) |
コーディネーター | 村田 あが (跡見学園女子大学 教授) |
今回の年次大会の開催にあたっては跡見学園女子大学の協力を得ております。
自由論題発表プログラム
自由論題発表
日時:12月5日(日)10:00~12:30(受付開始9:30)会場:2号館6階(分野別会場は下記の通りです)
発表分野 | 環境分野 | 企業活動&SR分野 | 社会・文化分野1 |
会場 | M2601(2号館6階) | M2602(2号館6階) | M2606(2号館6階) |
司会 | 吉村 英子(跡見学園女子大学) | 齋藤 哲男(立教大学大学院) | 小野 豊和(東海大学) |
コメンテーター | 宮崎 正浩(跡見学園女子大学) | 崔 勝(跡見学園女子大学) | 北山 晴一(21世紀社会デザイン研究学会会長) |
10:00 ~ 10:25 | ①「環境問題への意識の高まりと地域社会の重要性~国際会議の歴史的推移から~」 大瀬 浩子(上智大学大学院生) | ①「日本外食産業の変遷と経営課題―ファミリーレストラン業界の新たなコンセプト作りとあり方を中心に―」 李 美花(立教大学) | ①「アートプロジェクトにおけるソフトとハード―大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレを中心にして―」 浅井 慧(立教大学大学院生) |
10:25 ~ 10:50 | ②「日常の暮らしと水俣病をつなぐ視点―財団法人水俣病センター相思社生活部の試み―」 稲垣 聖子(立教大学大学院生) | ②「ワーク・ライフ・バランスとCSR―企業と個人との新しい関係―」 小河原 直樹(オラクルコーポレーション) | ②「ドーピングする身体からの脱出は可能か」 石川 寛(国際基督教大学社会科学研究所) |
10:50 ~ 11:15 | ③「三番瀬再生計画検討会議における合意形成プロセスに関する一考察」 嘉瀬井 恵子(立教大学大学院生) | ③「今日におけるNGOインターンシップ制度の本質的意義と新しい価値に関する研究」 桑山 奈々(立教大学大学院生) | ③「ポストモダンにおける「文化」と「自然」の問題について―主にジェンダーの観点から―」 梅原 宏司(立教大学) |
11:15 ~ 11:40 | ④「中国の家庭のエネルギー消費と家電品普及状況についての日中比較」 馮 新玲(早稲田大学大学院生) | ④「寄付付き商品の内容の違いが購入に与える影響」 野村 尚克(筑波大学大学院生) | ④「リプロダクションをめぐる身体の多様性についての一考察」 菊地 栄(出産育児環境研究会) |
11:40 ~ 12:05 | ⑤「廃プラスチックの中国への輸出増加要因と市場価格との連動に関する分析」 孟 祥鳳(早稲田大学大学院生) | ⑤「マイクロファイナンス機関評価の際の着眼点-KIVA、BRACウガンダ、CARD MRIに焦点をあてて-」 八木 正典(外務省) |
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発表分野 | 社会・文化分野2 | 危機管理分野 | つながり分野 |
会場 | M2607(2号館6階) | M2603(2号館6階) | M2608(2号館6階) |
司会 | 菊野 一雄(跡見学園女子大学) | 佐取 朗(セコム株式会社元顧問) | 田川 義博(情報セキュリティ大学院大学) |
コメンテーター | 笠原 清志(立教大学) | 川村 仁弘(立教大学) | 中村 陽一(立教大学) |
10:00 ~ 10:25 | ①「国際社会と日本における世界遺産の位置づけの変遷に関する考察」 木村 貴子(早稲田大学大学院生) | ①「三木政権における防衛政策―抑制的決定と三木の政治姿勢を中心に―」 真田 尚剛(立教大学大学院生) | ①「「全国友の会」創立の経緯と時代背景―『婦人之友』読者は、どのように組織化されたのか―」 小関 孝子(立教大学大学院生) |
10:25 ~ 10:50 | ②「ツーリズムを通じた社会学的想像力喚起に関する考察」 高橋 薫(立教大学大学院生) | ②「社会から信頼される登録販売者を育てるための養成施設の必要性」 本間 篤(東京未来大学 横浜医療秘書歯科助手専門学校) | ②「ドイツの成人教育―メクレンブルク=フォアポメルン州の民衆大学を中心に―」 佐野 敦子(立教大学大学院生) |
10:50 ~ 11:15 |
| ③「グローバル金融危機時の経済予測―予測誤差の原因を探る―」 山澤 成康(跡見学園女子大学) | ③「“ナラティブ×映像”による地域のデザイン~デジタル・ストーリーテリングの可能性~」 小澤 眞人((有)ラーニングビジョン) 高木 亮一(金沢星稜大学) |
11:15 ~ 11:40 |
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| ④「モード化する先祖の事例報告」 山岡 三子(立教大学大学院生) |
11:40 ~ 12:05 |
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| ⑤「“ワーク・ライフ・ミュージック”推進活動の研究―『はたらくミュージシャン協会』という実践事例を通して―」 西部 沙緒里((株)博報堂) 佐藤 達郎((株)博報堂DYメディアパートナーズ) |
アクセスのご案内
【交通機関・アクセス】
跡見学園女子大学 文京キャンパスまでのアクセスマップ
地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅 徒歩2分地下鉄有楽町線護国寺駅 徒歩8分
【会場案内】
注)春日通りの「跡見学園正門」からは通り抜けができません。大学門又は西門から入校してください。
内容 | 日時 | 会場 |
年次大会・総会会場 | 4日 | 2号館6階 |
懇親会 | 4日 | 2号館9階 |
公開講演会 | 5日 | 2号館1階 |
自由論題発表 | 5日 |
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大会参加費
一般会員:2,000円学生・セカンドステージ受講生:2,000円非会員:3,000円注)当日、受付にてお支払下さい。
懇親会費
3,000円 注)当日、受付にてお支払下さい。
昼食
各自でお取り下さい。(学内食堂はお休みです)ご持参の昼食をおとりいただく会場として2号館6階(M2609)、および1階食堂を用意しております。12月5日(日)のみ1号館の売店は営業予定です。
参加申込先
第5回 21世紀社会デザイン研究学会 年次大会実行委員会なるべく事前にお申し込みください。
大会参加申込書は下記アドレスからダウンロードできます。
申込書に必要事項を記入の上、第5回実行委員まで、郵送、メール、FAX、いずれかの方法でお申し込みください。
郵送での受付先 | 〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科委員長室 気付 21世紀社会デザイン研究学会事務局内 第5回 21世紀社会デザイン研究学会 年次大会実行委員会 |
メールでの受付先 | info@socialdesign-academy.org |
FAXの受付先 | 03-3985-2181 |
●事務局スタッフは非常勤のため、ご連絡などはFAXかE-mailでお願い致します。
研究会の紹介
21世紀社会デザイン研究学会では、研究会活動を支援しています。今までの研究会に加え、2010年度からは新たに4つの研究会が活動を始めました。会員の皆様の研究の場として、ネットワークの形成の場として、研究会活動へ奮ってご参加下さい。関心のある方は、直接、それぞれの代表者と連絡をとって下さい。また、研究会を新しく立ち上げたいという方は、下記ページをご覧下さい。
◆出産育児環境研究会
代表者:菊地 栄
少子化・消費化時代において、出産育児をめぐる環境はめくるめく変化している。妊娠・育児中の母親の生活環境の変化は、それを支える医療者や支援者にとっても、自らの臨床域以外については知ることが現実的に難しい状況になっている。出産育児環境の中にもネット情報があふれる中で、関係者はどのように出産育児環境を支援していけばいいのか。本研究会は出産育児に関わる支援者および研究者を会員として、当該社会の出産育児環境について情報交換をし、協働して研究を行う。
◆ジェンダー・セクシュアリティ研究会
代表者:森田 系太郎
バックラッシュの時代を迎え、ジェンダー・セクシュアリティの問題系について再び語りにくい時代となった。しかし社会にはジェンダー・セクシュアリティの問題が山積みとなっている。本研究会は当該問題に取り組む大学院生・研究者・活動家をメンバーとし、ジェンダー・セクシュアリティをめぐる問題系について発表、情報交換等を行う。 メンバーは研究会で明らかにされたことを自らの研究・実践に生かすことができる。また、研究会の成果を学会等で発表し公にすることで学外に還元することも検討している。 実施計画については、年6回の研究会を行い、メンバーによる発表、ならびにゲストスピーカーの招聘を企画している。
◆働きがいデザイン研究会
代表者:黒崎 智
「働く」とは何をさし、「働きがい」とは何なのでしょうか?この研究会では「働きがいとは自らデザインして得るもの」というコンセプトで捉え、ひとりでも多くの人が「働きがい」をデザインできる環境を醸成するため、現在の“職(仕事)”をとりまく諸問題を取り上げ、本質を探り現実的な解決策を見出すことを目的としています。そのために、学校・企業・キャリア教育組織・就労支援組織・EAP企業などの“職”に関る担当者やカウンセラーなど多領域の実務家が横断的に交流し、検討結果を実践の場に活かしたいと考えています。下記項目を検討課題とする予定です。
働きがいとモチベーションとの関係
働き方の多様性(非営利・グローバル化・高齢者雇用など)
個人の自律的キャリア形成とその支援
働く者のメンタルケアー(他者や組織との関係性、経験の共有)
雇用格差・ワーキングプア問題
なお、活動は3年をひとつの区切りと考え下記のように計画しています。
1年度:研究会のビジョンと方向性を確定し、課題別分科会活動を行う
2年度:諸問題に対する具体的解決策検討・立案・発表3年度:解決策の実践を通じた成果のまとめ、評価究極的な目標は、「働きがいの持てる社会実現」に向けて、「現場の問題をいかに自分たちの手であるべき姿にデザインしていくか」を追及することであると考えています。みなさま、「働きがい」を一緒にデザインしましょう!
◆エンパワメント実践研究会
代表者:木村 真実
「エンパワメント実践研究会」は参加メンバーそれぞれが主導者となり、社会的課題を具体的な事業として実践するためのプラットフォームです。
一つのプロジェクトにおけるグランドデザインを練り上げ、事業計画を立案し、実現の可能性を探るため、参加者が様々な専門分野でのスキル・ネットワーク等を駆使し関与していく。同時にその過程を随時記録し検証を積み重ねていく実験場とします。
また、私達は社会的弱者自らが所有する潜在的なパワーを誘導するための一助として事業を立ち上げますが、その過程でそれに関わる私たちの人間力をも鍛えられていくものであるという視点に立ちます。
最初のプロジェクトとして立ち上げているのが「ミンダナオ・ピースパール」プロジェクトです。フィリピン第二の島であるミンダナオ島の特産品である淡水パールを加工しジュエリー販売することでイスラム女性の自力支援を図ります。
まだ途上にある事業活動ですので目下試行錯誤しながら進めています。月1回のペースで会議を開いております。
※ その他お知らせは順次アップしていきます。
2010-10-11